開催日時
2026/11/11 水 16:45 - 17:45
場所
RIMS110号室
講演者
金子 元 (Kaneko Hajime)
講演者所属
筑波大学
概要
無理数の有理数による近似精度は、無理数の正則連分数展開と結びつけて研究されてきた。特に、badly approximable number と呼ばれる無理数は、正則連分数にあらわれる digit の列が有界なものである。このような数に対する近似精度は Lagrange spectrum と呼ばれる対象を通して研究されてきた。Lagrange spectrum の研究は、word combinatorics と密接な関係がある。また、Lagrange spectrum はある意味で等差数列の小数部分と関連がある。
一方、近年は等比数列版の類似物である multiplicative Lagrange spectrum の研究もされてきた。特に、オリジナルおよび multiplicative 版のラグランジュスペクトラムの discrete part は、周期と非周期の境界を表す。このことから、discrete part の研究は相転移現象の研究に類似したものとみなすことができる。本講演では、multiplicative Lagrange spectrum の派生として、固定した実数 η に対して以下の集合を研究対象として取り上げる:
L(10; η) = { limsup_{n→∞} ||ξ 10^n - η|| | ξ ∈ R }.
ここで、||x|| は実数 x から最も近い整数への距離を表す。η = 0 の場合がオリジナルの multiplicative Lagrange spectrum である。η を変化させた場合の discrete part の分岐について紹介する。