曲線上のCalabi-Yauファイバー空間のKモジュライについて

Date
2026/05/13 Wed 16:45 - 17:45
Room
3号館110講演室
Speaker
服部真史
Affiliation
京都大学大学院理学研究科数学教室
Abstract

代数多様体の変形は重要な概念であり,変形の全体像を一つの幾何学的対象として実現したものがモジュライである.モジュライが構成されると,多様体がどのように退化するのか,不変量が族の中でどのように振る舞うのかといった,捉えどころのない現象が,具体的な幾何学的情報として可視化される.しかし,高次元多様体に対するモジュライ構成は長らく困難な問題であった.
一方,K安定性はケーラー幾何学において導入された代数幾何学的概念であり,「良い計量を持つ多様体」を特徴づけるであろうと予想されている.尾高悠志氏は,このK安定性を用いることで,代数多様体のモジュライ空間が構成できるという,Kモジュライ予想を提出した.K安定な(つまり良い計量を持つ)退化のみを許すことで,高次元多様体のモジュライを構成できるであろうという哲学である.
Kモジュライ予想は,負曲率の場合,Fano多様体(正曲率の場合),Calabi-Yau多様体(曲率0の場合)に対して本質的に解決されたが,これらの曲率の性質が混在するような高次元多様体に対しては、依然として理解が進んでいない.
今回の談話会では,Calabi-Yauファイバー空間,つまりファイバー方向には曲率0,基底方向には正曲率な多様体を題材として,このような「混合的状況」においてKモジュライ予想がどのような形をとるべきかについて議論したい.
背景となる幾何学的直感や現在直面している困難について,時間の許す限りお話ししたい.
16:15- Tea