ランダム複素多項式力学系におけるランダム性誘起現象とリアプノフ指数の負値性

Date
2015/10/28 Wed 16:30 - 17:30
Room
3号館110講演室
Speaker
角 大輝
Affiliation
大阪大学・理
Abstract

リーマン球面上における次数2以上の有理写像の反復合成による
通常の複素力学系においては、そのジュリア集合のところで
必ずカオス性があり、リアプノフ指数が正となる初期点の集合の
ハウスドルフ次元は正である。
これに対して、本講演では、
大概の独立同分布ランダム複素多項式力学系において、
高々可算個の点を除く初期点において、
ほとんどすべての列に対するリアプノフ指数は負となり、
平均化システムのカオス性が通常の複素力学系より
著しく弱くなり、ある種の秩序を形成することを示す。
このように、近年、ランダム力学系では通常の力学系では起きないような、
新しい現象が多く観察されるようになってきており、
それらをランダム性誘起現象とよぶ。そのメカニズムや背景などを述べる。