開催日時
2024/10/16 水 16:45 - 17:45
場所
RIMS110号室
講演者
Tasuki Kinjo
講演者所属
Kyoto University
概要
数え上げ幾何学は、幾何学的な対象の数え上げを研究する分野です。例えば以下のような問題を考えます:
「二次元のアフィン空間$¥mathbb{C}^2$内の一般の位置に5つの滑らかな二次曲線$C_1$, $C_2$, $C_3$, $C_4$, $C_5$ が与えられている。この5つの二次曲線全てに接する滑らかな二次曲線はいくつあるか?」
この問いはSteinerの問題と呼ばれ、答えが3264本であることが知られています。
この値は1860年頃にde JonquieresとChaslesによって独立に(現代の数学の基準では厳密ではない方法で)導出され、その後に20世紀の交叉理論の進展によって彼らの導出が正当化されました。
数え上げ幾何学は素朴な対象を扱う一方で、導来代数幾何学と呼ばれるホモトピー論に立脚した最先端の幾何学との密接な関係を持ちます。実際、上述のSteinerの問題は、導来代数幾何学における仮想基本類の概念と深く関わっています。
本講演ではまず素朴な幾何学的対象を通して導来代数幾何学のアイデアを説明し、その後、数え上げ幾何学と導来代数幾何学の近年の進展について、講演者の結果を交えながら紹介しようと思います。