格子偏極K3曲面族のモジュライ空間は周期写像により格子に由来するIV型有界対称領域の算術商と同一視されます。
この事実を用いるとK3曲面の周期写像からIV対称領域上の保型形式を構成することができます。
講演者は階数の大きな複素鏡映群の不変式で変形が与えられるK3曲面を見つけ詳細に調べていますが、その際に格子偏極K3曲面の具体的な退化の様子を考察する必要が生じました。
この退化は複素5次元のIV型対称領域の適切な超平面配置において発生します。
周期写像を経由して、IV型対称領域のLooijengaによるコンパクト化の性質とあわせ、超平面配置を極に持つ保型形式を明示的に与えることができます。
今回の発表ではこの事実の報告をいたします。