開催日時
2025/07/25 金 15:00 - 18:00
場所
3号館108号室
講演者
横山 知郎
講演者所属
埼玉大学
概要
流れの制御においては,アトラクターに捕らえられた物質を押し出し,停滞を解消して流れを循環させるために,有限のエネルギーを注入することがある.こうした現象を記述し,必要なエネルギーの下限を与えるために,再帰性の概念を一般化する.実際,「粗い鎖再帰(coarse chain recurrence)」および「有限誤差を許容したモースグラフ(Morse graphs with finite errors)」という概念を導入する.これらの概念を用いて,以下のような現象を紹介する:
1. アトラクターからの脱出,有限のエネルギーによる制御によって停滞を取り除くおもちゃモデル(toy model)の構築,再帰点の持続性(persistence of recurrent points)
2. エネルギー注入がゼロに近づく極限における特異極限挙動(singular limit behaviors)
さらに,本研究では力学系の勾配的な性質を表現するフィルトレーションを構成し,流れの循環が摂動に強いかどうかを測る方法を提案する.
また時間が許せば,上記の研究の応用である井元氏(京大),徳田氏(順天堂大),三ツ井氏(順天堂大)との共同研究も紹介する.特に,制御の観点から,距離空間上の写像でなくより一般のコストを持った集合上の部分写像の力学系を扱い,擬軌道の亜種を定義し,粗い吸引領域の概念を導入することにより,アトラクターや"終わり状態の部分集合"に対するフィルトレーションを構成できることを紹介し,その具体的な数値計算の応用例についても説明する.