0次ススリンホモロジーとモデュラス付き0サイクルチャウ群の比較について

開催日時
2025/04/25 金 13:30 - 14:30
場所
3号館552号室
講演者
中村哲平
講演者所属
京大数学教室
概要

幾何的類体論とは、有限体上の滑らかな多様体Xのアーベル基本群を$X$自身の不変量で記述する理論である。主に2つの理論がある。1つ目はSchmidt-Spießによる順分岐類体論である。有限体上の滑らかな多様体Uに対し、順分岐アーベル基本群$\pi^{t,ab}_1(U)$は 0 次ススリンホモロジー$H^S_0(U)$で記述できる。2つ目はBinda-Kerz-Krishna-Saitoによるモデュラス付き類体論である。有限体上滑らかな多様体$U$の正規なコンパクト化$X$と、X上の有効カルティエ因子$D$で、$X∖D= U$を満たすものを取ったとき、モデュラス付きアーベル基本群$\pi^{ab}_1(X|D)$ はモデュラス付きチャウ群$CH_0(X|D)$で記述できる。問題は「$D$ が被約であるとき、4CH_0(X|D)$と$H^S_0(U)$は同型になるか?」である。本講演では、この同型が成り立つ条件を紹介し、証明の概略を与える。