有限体上の楕円曲線の同型類の個数および Eichler--Selberg 跡公式に現れる類数の和は，類似の構造をしていることが知られている．伊原，Birchは，標数$p$の有限体上の楕円曲線のトレースの冪乗の和を，$\mathrm{SL}_2(\mathbb{Z})$に対する保型形式のヘッケ作用素で表す公式を示した．Kaplan--Petrow は，位数が$p$と素な有限アーベル群$A$に対し，$A$を部分群に持つ標数$p$の有限体上の楕円曲線に関する統計的な情報の，ヘッケ作用素の跡による表示を与えた．本講演では，$A$の位数が$p$で割り切れる場合に，伊原，Birch, Kaplan--Petrow の定理の一般化を与える．

※ 1/17(金)は2講演あります。