1990年代に加藤和也氏はBloch-加藤の玉河数予想と岩澤主予想を統合する一連の予想を提唱しました。岩澤主予想では円単数や加藤のゼータ元などのゼータ関数の代数的対応物の存在が非常に重要な役割を果たしますが、加藤氏の予想では、このようなゼータ元が全ての大域p進ガロア表現の族に対して存在し(一般岩澤主予想)、さらにはゼータ元が対応するゼータ関数と同様の関数等式を満たす(大域イプシロン予想)と予想されています。
本講義では、ゼータ元の関数等式の局所因子に関する局所イプシロン予想について解説します。この予想は一般岩澤主予想の局所版に相当し、ドラーム表現に対して定まる局所因子(L-因子、イプシロン因子)およびBloch-加藤exponentialを局所p進ガロア表現の全ての族に対して拡張する予想です。クリスタリン表現の円分変形族の場合には、Bloch-加藤exponentialの拡張に関してColeman写像やPerrin-Riou写像がありますが、局所イプシロン予想はこれらをより一般の族へ拡張する予想ともみなせます。私はこれまでに(phi,Gamma)加群の理論を基礎としてこの予想に取り組み、特に階数2の場合にGL_2(Q_p)のp進局所ラングランズ対応との繋がりを用いてこの予想(の大部分)を解決しました。本講義では、p進ガロア表現および(phi,Gamma)加群の基礎、局所イプシロン予想の定式化、および階数2以下の場合の局所イプシロン予想について解説する予定です。
※この講義は、高度に専門的な予備知識を仮定せず、代数・幾何・解析などの分野にかかわらず広く修士課程の大学院生や学部生に開かれた講義として用意されたものですので積極的に受講してください。
要申込: 11 月 20 日(水)締切厳守!
※講義は対面で行います。受講希望者は、KULASIS「お知らせ」内のGoogleフォームにて申し込みを行ってください。
聴講のみの希望者も申し込みが必要です。