Liouville領域の懸垂構成と接触構造の強圧縮性について

開催日時
2024/06/11 火 15:00 - 16:30
場所
6号館609号室
講演者
小川竜
講演者所属
東海大学
概要

コンパクト境界付きシンプレクティック多様体の重要なクラスとして、複素解析を背景に持つ「Weinstein領域」と力学系を背景に持つ「Liouville領域」がある。シンプレクティックの意味での凸性を備えた空間で、その典型例として余接束やStein多様体がある。定義からWeinstein領域ならばLiouville領域であり、これらの位相的な違いははっきりしているものの、それを除いたときシンプレクティック多様体としてどの程度違いがあるのかはよく分かっていない。この問題が進まない原因の一つに、Liouville領域固有の構成法があまり知られていないことがあげられる。このような背景のもと、講演者らが近年取り組んでいる研究について紹介したい。講演の前半ではWeinstein v.s. Liouvilleの背景と現状について概観する。その後HuangによるLiouville領域の懸垂構成を紹介する。この構成で鍵となるのは接触構造の(強)圧縮性という性質である。これに関連して最近得られた結果をお話ししたい(吉安徹氏と進行中の共同研究に基づく)。