格子Wilson-Dirac作用素の指数定理と高階指数理論

開催日時
2023/07/05 水 16:45 - 17:45
場所
3号館110講演室
講演者
窪田陽介
講演者所属
京大・数学教室
概要

理論物理における格子ゲージ理論では,時空を格子近似(有限次元近似)することで経路積分を計算する.場の理論における指数定理の役割として,Dirac作用素の指数が量子異常を記述するというものがあるが,その有限次元近似にあたるのが格子Wilson-Dirac作用素である.ここでは,Wilson-Dirac作用素という行列が,負の固有値の数としてDirac作用素の指数を記憶している.この事実は理論物理では早くから知られていたが,数学的な証明は近年の研究(深谷-古田-松尾-大野木-山口-山下)によって与えられた.本講演では,その別証明のうちの一つとして,高階指数理論における概平坦ベクトル束と概可換行列の理論と関連づけて理解する方法を紹介する.