3次元Navier-Stokes乱流のデータ同化と横断Lyapunov指数による特徴付け

開催日時
2023/07/18 火 16:45 - 18:15
場所
6号館809号室
講演者
犬伏 正信
講演者所属
東京理科大学 理学部第一部 応用数学科(大阪大学 大学院基礎工学研究科・招へい准教授)
概要

Navier-Stokes乱流のデータ同化は実用上有用であるだけでなく,乱流の動力学を理解する上でも重要である.乱流のデータ同化において,ある臨界スケール以上の大きな乱流構造の観測データのみを用いることで,それより小さなスケールの乱流構造を完全に推定できることが知られている.この意味で,乱流の小さなスケールの運動はそれより大きなスケールの運動に隷属的である.
本研究では,Navier-Stokes方程式の特徴量である横断Lyapunov指数を新たに導入し,データ同化の成否を判定する枠組みを提案する.特に,多くのデータ同化実験で共通して報告されている臨界スケールを,横断Lyapunov指数を用いて特徴付ける.さらに,横断Lyapunov指数と乱流アトラクタの最大Lyapunov指数の関係を示し,近年明らかになった最大Lyapunov指数のReynolds数依存性を基に,上記の臨界スケールのReynolds数依存性を議論する.
本講演は後藤晋氏(大阪大学),小林幹氏(立正大学),齊木吉隆氏(一橋大学)との共同研究に基づく.