制限定理と関連する偏微分方程式論の諸問題

開催日時
2023/06/28 水 16:45 - 17:45
場所
3号館110講演室
講演者
杉本 充
講演者所属
名古屋大学大学院 多元数理科学研究科
概要

ユークリッド空間上の連続関数は,定義域を超曲面に制限することにより,その超曲面上の連続関数と見なすことができる.この主張において,「連続」を「可積分」に置き換えることは可能だろうか?超曲面の測度は0であるので,この場合はそこへの制限を自然な方法で定義できることすら必ずしも自明ではない.このような制限の存在を保証する一連の主張は「制限定理」と総称され,掛谷問題などの調和解析の有名な未解決問題とも関連していることが知られている.一方,制限定理と偏微分方程式論との密接な関連性も認識されており,例えばStrichartz評価式や平滑化評価式といったSchrödinger方程式のCauchy問題に関する基本的な評価式は,制限定理から導出可能であることが知られている.この講演ではこれらについて概説するとともに,平滑化評価式の最良定数の問題,さらにはそのSchrödinger型方程式のCauchy問題の適切性に関する溝畑・竹内予想との関連性などについて述べたい.