非局所反応拡散方程式における積分核形状に依存した時空間パターンについて

開催日時
2023/06/20 火 16:45 - 18:15
場所
6号館809号室
講演者
石井 宙志
講演者所属
京都大学高等研究院・ヒト生物学高等研究拠点ASHBi
概要

近年,未知関数と適切な積分核との空間方向の合成積で表される非局所効果を反応拡散方程式に加えた, 非局所反応拡散方程式がさまざまな分野の数理モデルとして提案されている. このような非局所効果は物質の拡散過程,物質間の長距離相互作用を記述するために用いられる. 非局所反応拡散方程式では積分核形状に依存して, 多様な時空間パターンが生成されていることが数値計算により報告されている. 特に,非局所反応拡散方程式は反応拡散系のある種の縮約方程式として導出されており, 反応拡散系と同等な解構造を有していることが予想されている.
本講演では解の時空間ダイナミクスに対する積分核形状の影響を解析するために, 相分離したパターンの時間変化について考察をした結果を紹介する. まず,非局所反応拡散方程式の数理モデルおよびパターン形成問題に関する先行研究を説明する. また,本研究の問題設定とその解析手法について述べた後, 解の時空間ダイナミクスについて得られた結果を紹介する. さらに,具体例として特定の相分離パターンについて考察をし, パターンの時間変化における積分核形状の影響について説明する.