K不安定な代数多様体にはcscK計量が存在しない。cscK計量を多様体の「静的な空間の標準的形状」と捉えるならば、cscK計量を持たない多様体に対しては「動的な"時空"の標準的形状（=フローの方程式）」に関心がある。この「時空の標準的形状」がどのように定式化されるべきかは難題だが、適当なquantityによって一意的に特徴づけられる代数多様体の退化が「時空の標準的形状」の時間無限遠の境界条件をカノニカルに決めているだろうと考えられている。μエントロピーはそのようなquantityの一つである。本講演ではμエントロピー最大の退化の存在問題に対する非アルキメデス多重ポテンシャル論的アプローチを概観する。参考としてトーリック多様体の場合に得られた結果も紹介したい。