代数曲面上の点のヒルベルトスキームは、表現論、数え上げ幾何学、双有理幾何学など様々な観点から研究されている興味深い対象である。例えば、代数曲面の爆発に応じて、ヒルベルトスキームのオイラー数どのように変化するかを記述する「爆発公式」が知られている。
私は最近の研究で、オイラー数の爆発公式を導来圏の半直交分解のレベルに圏論化することに成功した。この「圏論的爆発公式」は、極小モデルプログラムと導来圏の関係を予想するD/K同値予想を通じて、ヒルベルトスキームの双有理幾何学の研究にも結びつく。結果として、双有理幾何学、数え上げ幾何学、導来圏という三つの異なる研究分野の間の興味深い関係性を見出すことができた。本講演ではこれらの研究結果について説明したい。