実二次体の円分$\mathbb{Z}_p$拡大上の楕円曲線の保型性について

開催日時
2022/06/17 金 13:30 - 14:30
場所
3号館152号室
講演者
吉川祥
講演者所属
学習院大学
概要

総実代数体$F$上定義された楕円曲線のHasse-Weil L関数は、Hilbertモジュラー形式のL関数に一致することが予想されている(楕円曲線の保型性予想)。この予想は既に様々な$F$や楕円曲線について正しいことが知られており、例えば$F$が3次以下の総実代数体の場合が解決されている (Breuil-Conrad-Diamond-Taylor, Freitas-Le Hung-Siksek, Derickx-Najman-Siksek)。また、有限個の場合を除く 4 次、5次総実体の場合も解決されている(Box, Ishitsuka-Ito-Yoshikawa)。
最近の研究で、Thorne は岩澤理論の結果を応用することにより、有理数体の円分$\mathbb{Z}_p$拡大上定義された任意の楕円曲線が保型的であることを証明した。更に最近、Zhang はThorne の手法をもとに、$\mathbb{Q}(\sqrt{5}) $以外の実二次体の円分$\mathbb{Z}_p$拡大の場合に部分的な結果を得ている。
本講演では、$p \geq 11$に対して、$\mathbb{Q}(\sqrt{5})$の$\mathbb{Z}_p$円分拡大上定義された任意の楕円曲線が保型的であることを示す。証明の方針は、講演者が以前得た保型性の結果(既約なmod 7表現をもつ楕円曲線の保型性)と、Thorneによる岩澤理論の応用を組み合わせるものである。

※ 本セミナーは対面で行われます。