四次元空間内の狭義凸超曲面上の正双曲単純周期解の存在性

開催日時
2022/04/15 金 15:00 - 17:00
場所
6号館809号室
講演者
柴田 泰輔
講演者所属
京都大学
概要

(このセミナーはハイブリッドで開催しますが,対面での参加は学内者に限ります.)

三次元接触多様体のReebベクトル場の非退化な周期解はそのreturn mapの固有値によって楕円型、負双曲型、正双曲型のいずれかに分類される。
他方、三次元接触多様体に対して埋め込まれた接触ホモロジー(ECH)が定まる。これは主にM. Hutchingsによって導入され、非常に強力な道具として知られている。特にSWF(の一つ)と同型であるという著しい性質を持つ(C. Taubes)。

D. Cristofaro-Gardiner, M. Hutchings及びD. Pomerleanoは三次元接触多様体が非退化(すなわち全ての周期解が非退化)でかつb_1>0の時正双曲単純周期解が必ず存在することをECHとSWFの同型から直接示し、b_1=0の時はどうか?という問題を提示した。
しかし、例えばレンズ空間の場合、単純周期解がちょうど二つでかつそれらが楕円型であるReebベクトル場の存在が知られており、一般に正双曲な単純周期解の存在は言えない。
本講演では、b_1=0の場合での正双曲な単純周期解の存在性を考察する。特に「R^4内の狭義凸エネルギー超曲面が、非退化でかつ単純周期解が二つでない」というgenericな状況下での正双曲単純周期解の存在性を示す(特にこの場合無限個の周期解をもつことが知られている)。
証明では、ECHとSWFの同型とそれらの代数構造から保証される擬正則曲線とそのモジュライ空間のコンパクト化を、Reebベクトル場のglobal sectionとの関係から調べることがカギとなる。