連続最適化手法と常微分方程式の数値解法の間に密接な関係があることは古くから知られている．例えば，最も単純な連続最適化手法である最急降下法が勾配流に対する陽的Euler法に対応することは明らかである．また，近年Nesterovの加速勾配法などのより複雑な連続最適化手法についても常微分方程式との関係が見出されはじめている．それらの結果をもとに，既存の連続最適化手法を対応する常微分方程式を通して理解し，その視点をもって新たな手法を構成する研究が盛んに行われている．本講演では，まず主に最適化の文脈で行われているこの方向での研究をまとめる．その上で，微分方程式の数値解析の知見を用いて導出した新たな手法や視座，今後の展開について議論する．
本講演は松尾宇泰氏 (東京大学)，大沼賢矢氏，牛山寛生氏 (東京大学) との共同研究に基づく．