長距離型ポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式の球対称基底状態下の球対称散乱解について

開催日時
2021/04/30 金 16:00 - 17:00
講演者
浜野 大
講演者所属
埼玉大学
概要

本講演では,冪乗型ポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式 (NLS) を空間 3 次元で考える. ここで,冪乗型ポテンシャルとは $\frac{\gamma}{|x|^\mu}$ の形をしたポテンシャルを指す. $1 < \mu \leq 2$ のとき短距離型と呼ばれ,$0 < \mu \leq 1$ のとき長距離型と呼ばれる. 短距離型のとき,時間無限大で線形解が自由解に $H^1$ の意味で漸近することが水谷氏 (2020) により示された. このような状況においては,Killip--Murphy--Visan--Zheng (2017), Guo--Wang--Yao (2018) により基底状態の下側の初期値に対する (NLS) の解が線形解に漸近する(散乱する)ための必要十分条件が与えられた. 一方で長距離型のとき,時間無限大で線形解は自由解に $L^2$ の意味でも漸近しないことが知られている. このような状況では,基底状態下の初期値に対する (NLS) の解が散乱するための必要十分条件は知られていない. 本講演では,球対称基底状態((NLS) の定常問題の球対称解の中で最小エネルギーをもつ解)の下側の球対称の初期値に対する (NLS) の解が散乱するための必要十分条件を紹介する. 本講演は理化学研究所の池田正弘氏との共同研究に基づく.

備考:本セミナーはZoomオンラインセミナーとして開催します。