Goodman-Fried surgery and R-covered Anosov flows on three-manifolds

開催日時
2021/05/07 金 15:00 - 17:00
講演者
浅岡 正幸
講演者所属
同志社大学
概要

トーラス上の双曲自己同型の懸垂流や双曲閉曲面の測地流と言った古典的に
知られているAnosov流以外の位相推移的な3次元Anosov流を構成する方法として,
Handel-TurstonやGoodman,Friedによる,Dehn手術を用いてある3次元多様体上の
Anosov流から別な3次元多様体上のAnosov流を得る手法がある.これらのうち,
周期軌道に沿って行うFriedの手術に関して,Friedは「全ての位相推移的な
3次元Anosov流はFriedの手術で古典的なものにすることができるか」という
問題を提起したが,これまでのところ解決に向けた大きな進展はないままである.

一方,3次元Anosov流の研究においては,R-coveredと呼ばれる不安定葉層の
普遍被覆への持ち上げのleaf spaceが数直線Rと同相であるAnosov流がFenleyや
Barbotを中心によく調べられており,上のFriedの問題の部分問題として
「全ての位相推移的な3次元Anosov流はFriedの手術でR-coveredなものに
できるか」という問題を考えることは3次元Anosov流を理解する上で大きな
意味を持つと思われる.

最近,不変葉層の向きづけ可能性の仮定の下でこの部分問題を解決できたので,
この講演ではその報告をしたい.すなわち,「安定葉層,不安定葉層が
向きづけ可能な位相推移的3次元Anosov流はFriedの手術でR-coveredなものに
することができる」という結果に関して,Anosov流の手術に関する基本的なこと
から始めて証明のアイデアまでを述べたい.証明では3次元Anosov流の研究の
もう一つの基本的な道具であるBirkhoff sectionやlozengeも重要な役割を
果たすので,それらについても説明したい.