二相Serrin型優決定問題の局所可解性とその数値計算について

開催日時
2020/11/10 火 16:30 - 18:00
講演者
谷地村 敏明
講演者所属
京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 (ASHBi)
概要

Serrin型優決定(過剰決定)問題とは,Dirichlet境界条件に加えてNeumann境界条件が定数となる過剰決定条件(Serrin型優決定条件という)を課したとき,方程式を可解とする領域とは何かを決定する問題である.単一媒質(Laplace作用素)の場合,1971年にSerrinが移動平面法を用いて解決して以来多くの数学者によってその一般化が考察されてきたが,複合媒質(区分的定数関数を係数に持つ楕円型作用素)の場合は係数の不連続性により解析が困難となる.
本講演では,特に二相からなるSerrin型優決定問題において介在物が球に近い場合の局所可解性及びKohn--Vogelius汎関数とH^1勾配法を用いた数値アルゴリズムについて説明し,介在物の幾何学的形状が優決定問題の解となる領域にどのような影響を与えるかについて考察する.
本講演の内容は,Lorenzo Cavallina氏(東北大学)との共同研究に基づく.