非線形力学系から生成される時系列データ間の作用素論的側面からの研究

開催日時
2020/08/18 火 15:00 - 16:00
講演者
池田 正弘
講演者所属
理化学研究所AIPセンター
概要

複数のデータ間の距離の定義は機械学習や画像認識といった応用の分野において非常に重要な問題である.本研究では,時系列データの距離について,それらのデータが非線形力学系から生成されるというモデルを据えて考察した.力学系が与えられると,あるHilbert空間(再生核Hilbert空間)の上にPerron-Frobenius作用素と呼ばれる線形作用素が自然に定義されるが,これを用いると距離を与える枠組みを構築できる.本講演ではこの枠組みに関する紹介を中心に,近年の力学系に付随する作用素を用いたデータ解析に関する先行の手法やそれらと本研究との比較,及び,それらに纏わる純粋な数学的問題やそれに対して得られている我々の結果,さらに,確率的な効果も考慮したランダム力学系への拡張も紹介したい.
本研究は,石川勲氏(理研),藤井慶輔氏(名大),橋本悠香氏(NTT),河原吉伸氏(九大)らとの共同研究に基づく.