Elliptic canonical bases for toric hyper-Kahler manifolds

開催日時
2020/06/17 水 13:30 - 14:30
講演者
疋田 辰之
講演者所属
RIMS
概要

LusztigはSpringer特異点解消やSlodowy多様体などの同変K群に対して標準基底と呼ばれる概念を定式化し、それが正標数での半単純Lie環の表現論をある意味で統制していることなどを予想した。これらの予想はBezrukavnikov-Mirkovicによって(標数が十分大きい場合に)示されたが、その過程で標準基底は傾斜ベクトル束の直既約因子のクラスであることも示されており、そこから定まるt-構造は安定性条件の理論などとも関係して代数幾何学的にも興味深い対象であると考えられる。

McBreen-Websterは類似の傾斜ベクトル束をトーリックハイパーケーラー多様体と呼ばれる代数多様体の場合に明示的に構成している。この講演ではまずこの傾斜ベクトル束の直既約因子のK理論でのクラスがLusztigと同様の手法で特徴付けられることを示す。またこれらの傾斜ベクトル束は正標数での量子化のパラメータに依存して定まるが、次にこれを動かしたときの壁越えに
ついて述べる。最後に全てのパラメータに対するK理論的な標準基底を壁越えの様子に応じてまとめ上げることで楕円標準基底と呼ぶべきものを定義し、それがLusztigの特徴付け(の一部)の楕円類似を満たすことを示す。

(この講演はZoomでの東大京大合同セミナーで行われます。)