$C^1$-stable intersection of Cantor sets in higher dimensions

開催日時
2020/06/05 金 16:00 - 17:30
講演者
浅岡 正幸
講演者所属
同志社大学理工学部
概要

縮小的な反復写像系が定める「regularなCantor集合」は力学系の研究における
基本的な対象である.こうしたregularなCantor集合たちが写像系を摂動しても
交わり続けるという「交わりの安定性」はホモクリニック分岐の解析において
重要である.例えば,1次元ユークリッド空間内のCantor集合についての
Newhouseによる交わりの$C^2$-安定性についての理論は,ホモクリニック接触の
安定性や,無限個の吸引的な周期点を持つ力学系の局所的な$C^2$-genericityなどの
重要な応用を持つ.また,Moreiraは1次元ユークリッド空間内のregularな
Cantor集合の組は$C^1$-安定に交わりを持つことはないことを証明しており,
このことから2次元$C^1$微分同相写像については双曲的なものがgenericで
あるだろうという「2次元$C^1$ Smale予想」に対する強い傍証が得られる.

この講演では,2次元以上においてはMoreiraの結果の類似は成り立たないことを示す.
すなわち,regularなCantor集合の組で,その交わりが$C^1$-安定であるような例を与える.
講演者と聴衆の気力と体力が続くようならば,この結果の応用として得られる,
4次元以上の微分同相写像において著しく退化したホモクリニック接触が局所的に
$C^2$-genericに起きるという結果についても触れたい.

なお,講演で報告するこれらの結果の詳細については arXiv:1911.08091 を参照されたい.

注:本セミナーはZoomを用いてオンラインで開催します.