ミクロとマクロをどうつなげるか(続編) ーアモルファス材料のミクロな不均一性とマクロな強靭性ー

開催日時: 
2020/05/21 Thu 16:30 - 18:00
講演者: 
西浦 廉政
講演者所属: 
北海道大学名誉教授
概要: 

材料科学における大きな未解決問題としてミクロな構造とマクロな性能をどう関連付けるかということがある.原子・分子構造を操って,マクロな強靭さや様々な性能をいかに生み出せるかということである.お話しする内容はデータマイニング的な原子・分子の最適な組み合わせを探るということではなく,与え られたミクロ/メゾの画像イメージから,マクロな性能に関連すると期待されるスカラー量を抽出する試みを紹介したい.実際,不定形・不均一なアモルファス材料においては,その構造同定の至難さに加え,機械的な強靭さをどのような指標で判定するかはまだ十分に解明されたとは言えない.ここではX線CTデータを元に,構造同定に関しては古典的な機械学習の手法と共に,パーシステントホモロジーなどのトポロジー的手法も併用しつつ,その利点と相補性ならびに問題点を述べる.
次にマクロな性能,とくに動的な強靭さの判定手法として,フェーズフィールド型 亀裂進展モデルを用い,そこから得られるあるスカラー指標 (Effective toughness) の有効性を議論する.以上の準備の上で,スケールの異なるこれら2つの内容をどのようにつなぐのか,すなわちミクロ・メソの構造情報がどのようにマクロモデルに組み込むことが可能であるかについて一つの試みを紹介する. 一言でいえば,何が材料の性能向上に寄与しているのかについては,X-線CT画像の全変動(total variation)が効いていることが判明した.このことを亀裂モデルのヤング率に取り込むのである.さらにこれを目でみて区別できるように視覚化するための手段として,CNNの手法が有効であることが最近わかってきたので,時間が許せばお話ししたい.現時点では,依然として問題山積の話であり,完成した話ではないが,議論していただけると幸いである.
なおこの仕事は内閣府の構造材料に関わるSIP Project での成果の一つであり,E. Avalos, 赤木和人,S. Xie,らとの共同研究に基づく.またフェーズフィールドモデルの code については高石武史氏から協力を得たのでここに感謝したい.

備考: 本セミナーはHMMCセミナーとの共催です.関係者のみ参加によるZoomオンラインセミナーとして行います.