Hardyポテンシャルを伴う分数べき及び高階Schrödinger方程式のStrichartz評価

開催日時
2020/04/24 金 15:30 - 16:30
講演者
水谷 治哉
講演者所属
大阪大学大学院理学研究科
概要

尺度臨界ポテンシャルを伴う Schrödinger 方程式には,逆 2 乗べきポテンシャルに対する Burq et al (2003) を契機に,一様レゾルベント評価や局所平滑化効果,Strichartz 評価,およびそれらの非線形問題やスペクトル解析に対する応用などの研究が数多くある. 一方,分数べき及び高階 Schrödinger 方程式も非線形問題を中心に近年盛んに研究されている. この講演では Burq et al (2003) の分数べき及び高階への一般化について得られた結果を紹介する.
 Hardy ポテンシャルは特異性と無限遠方における減衰度のどちらも臨界であり,通常のソボレフ空間をエネルギー空間にもつハミルトニアンを定義するためには方程式の階数とポテンシャルの結合定数に制限(Hardy の不等式の成立条件)が必要となるが,局所平滑化効果については,そのような条件のもとで加藤-谷島型評価が得られた. さらに方程式の階数が 1 階よりも大きければ Strichartz 評価も成立する. この追加の条件は 1 階の Hardy ポテンシャルが長距離型(クーロンポテンシャル)であることに起因する. 証明には保城 (1999) による Mourre 理論を用いたレゾルベントの解析手法と,滑らかな摂動理論,Rodnianski-Schlag (2003) の摂動論を組み合わせて用いる. 特に,Mourre 理論を用いることによって,方程式の階数によらない扱いが可能となる. 一方,Strichartz 評価に関する階数の条件は Rodnianski-Schlag (2003) の摂動論を用いる際に必要となる.
 時間が許せば,より一般の尺度臨界ポテンシャルに拡張するための今後の課題についても触れたい. なお,この講演は Xiaohua Yao(華中師範大学)との共同研究 (arXiv:2002.02163) に基づく.

備考: 本セミナーはZoomオンラインセミナーとして開催します.