退化粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の解の長時間挙動

開催日時
2019/12/20 金 15:30 - 17:30
場所
3号館251号室
講演者
三竹大寿
講演者所属
東京大学
概要

力学系におけるAubry-Mather理論は,偏微分方程式論の粘性解理論を導入することで相互の理論がより明瞭なものとなった.この理論は,Kolmogorov-Arnold-Moser (KAM) 理論を背景に偏微分方程式論における弱解を利用した理論ということで,弱KAM 理論と提唱された.講演者は,最適確率制御問題に現れる退化粘性HJ方程式と呼ばれるクラスの方程式に適用できるよう,弱KAM理論の一般化に取り組んできた.従来の弱KAM理論は決定論的な力学系しか扱えないため,新しい道具立てを必要とした.この点を偏微分方程式論から見直すことで決定論及び確率論を統一する枠組みを作ってきた.その応用として,漸近解析(長時間挙動,ディスカウント近似)に利用した.本講演では,これらの結果について概説をして,特に最近進展した退化粘性HJ方程式の初期値問題の粘性解の長時間後の収束先に関する結果について紹介したい.