カラビ・ヤウ多様体および楕円ファイブレーションのストリング理論への応用について議論する。特にF理論と呼ばれるストリング理論の分野への応用を議論する。ストリング理論は４次元よりも次元の高い時空において整合性を持つため、４次元以外の残った次元は小さな空間にコンパクト化され、観測を逃れていると考えられている。F理論では、コンパクト化に用いる空間は物理的な要請から楕円ファイブレーションを持つものが考えられる。F理論の数学的な側面と、物理的な応用を議論したい。

F理論において、セクションを持つ楕円ファイブレーションと、セクションを持たない楕円ファイブレーションの上のコンパクト化を考えた場合、異なる物理的な性質のモデルが得られる。具体的な構成を用いて、これらの異なるモデルを紹介する。