数学特別講義(代数幾何学)「正標数のK3曲面とEnriques曲面」

開催日時
2019/10/15 火 15:00 - 17:00
2019/10/16 水 10:00 - 12:00
2019/10/17 木 10:00 - 12:00
2019/10/17 木 15:00 - 17:00
2019/10/18 金 10:00 - 12:00
場所
3号館110講演室
講演者
松本 雄也
講演者所属
東京理科大学
概要

正標数のK3曲面およびEnriques曲面について,正標数特有の現象に重点をおいてお話しします.話題としては次のようなものを考えています.

  • 標数0のK3曲面上に大域的ベクトル場は存在しない.これは正標数でも成り立つが,証明は難しくなる.
  • 正標数のK3曲面には高さという不変量がある(1以上10以下の整数または∞になる).
  • 高さ∞のK3曲面(超特異とよばれる)は,$H^2$が代数的サイクルのみで生成される,単有理になりうるなど,標数0と異なる性質をもつ.
  • 標数2のEnriques曲面は,基本群が一般に$\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$でない,Hodge-de Rhamスペクトル系列が一般に$E_1$退化しない,Hodge 数$h^{ij} = \mathrm{dim}H^j(\Omega^i)$が一般に$h^{ij} = h^{ji}$を満たさない,など特徴的な性質をもつ.