Physical Reservoir Computingの射程:ソフトロボットへの応用を例に

開催日時
2019/07/03 水 16:30 - 17:30
場所
3号館110講演室
講演者
中嶋浩平
講演者所属
東京大学
概要

Reservoir Computing (RC)は、リカレントニューラルネットワークの研究により発展してきた情報処理手法の一つである。この手法では、ネットワーク内部の結合を調節せずにリードアウトの結合のみを最適化するため、ニューラルネットワークに限らず、ある種の大自由度力学系であれば、情報処理に活用することが可能となる。この点に着目し、近年、物理系のダイナミクスを情報処理デバイスの一部として活用する手法である、Physical Reservoir Computing (PRC)が提案された。現在、ソフトロボティクス、ナノマテリアル分野、レーザー、量子多体系のダイナミクスなど各方面で種々の応用が進められており注目を集めている。本発表では、PRCの成立当初のモチベーションを概観しながら、RCからPRCへと展開することでいったい何が面白くなるのかに重点をおいて議論したいと考える。具体的には、Wolfgang Maass氏がLiquid State Machineを考案当初に思い描いていた"wetware"の概念から、同じくMaass氏のグループによる"liquid computer"の構想を紹介し、タコ足計算機ならびにソフトロボティクスへの現代的応用の展望について議論する。