瞬間的な渦伸長を生成する3次元Euler流・それに関連するzeroth lawについて

開催日時
2019/05/21 火 16:30 - 18:00
場所
6号館809号室
講演者
米田 剛
講演者所属
東京大学数理科学研究科
概要

本講演では、zeroth lawと瞬間的な渦伸長との関係について言及する。Zeroth lawとは、Navier-Stokes方程式の粘性係数をゼロへ飛ばしたとき、解のエンストロフィー(渦度の$L^2$ノルムの二乗)が粘性係数に反比例するオーダーで無限大に発散することである。これは、乱流が乱流であるためのcornerstoneの一つであり、特にOnsager予想の起源となっている。しかしながら、このzeroth law自体の数理的理解を目指す研究は今まで皆無であった。それが可能になったのは、Bourgain-Li(2015)やKiselev-Sverak(2014)等によるEuler方程式研究のbreakthroughが起きたからであろう。それら最新の解析手法を駆使することで、修正版のzeroth lawを満たすNavier-Stokes流(瞬間的な渦伸長を生成する流れ)を構成する。

また、(修正版ではない)実際のzeroth lawを満たすNavier-Stokes流を構成する為には、大規模数値計算によるNavier-Stokes乱流の最新研究結果:Goto-Saito-Kawahara(2017)を考慮に入れないといけないだろう、と予想している。そこで、その予想解決に取り組むための準備段階として、彼らのNavier-Stokes乱流の素過程を数学的に洞察する。より具体的には、その素過程を出発点としてKolmogorovの-5/3乗則を導出する。

なお、本研究はIn-Jee Jeong氏(KIAS, Korea)との共同研究に基づく(arXiv:1902.02032)。