SL_2(Z_p) のメタプレクティック群上の genuine な指標と Dedekind eta 関数の変換公式について

開催日時
2018/12/07 金 13:30 - 14:30
場所
3号館152号室
講演者
野口博史
講演者所属
京大数学教室
概要

SL_2(Z_p) のメタプレクティック群とは SL_2(Z_p) の二重被覆群である.ここではそれをM(Z_p)とおく.M(Z_p) 上の指標φがgenuineであるとは,I_2 を SL_2(Z_p) の単位行列としたとき,φ([I_2,-1])=-1 が成り立つことである.今回,Weil 表現を用いて素数 p に対し M(Z_p) 上の genuine な指標を決定する.なお,p≧3 のときは二重被覆 SL_2(Z_p)→M(Z_p) は分裂し,そこから定まるある写像を ρ_p とおくと,ρ_p は M(Z_p) 上の genuine な指標の一つである.さらに,p≧5 のときには ρ_p は唯一の M(Z_p) 上の genuine な指標である.また,Dedekind eta 関数にはモジュラー変換に関する変換公式が知られているが,この変換公式は上で決定した genuine な指標を用いて示すことができる.具体的には,まず有理数体のアデールを A とおく,Dedekind eta 関数を SL_2(A) のメタプレクティック群に持ち上げる.この関数の変換公式を local に考えると,上で決定した指標を用いた計算により Dedekind eta 関数の変換公式が導かれる.