零温度極限を持たない局所定数関数の構成について

開催日時
2018/11/16 金 14:00 - 17:00
場所
6号館609号室
講演者
篠田 万穂
講演者所属
慶應義塾大学
概要

零温度極限問題では,平衡測度の定義に用いられるポテンシャルの寄与を逆温度パラメータで制御し,逆温度パラメータを無限大 (温度を零)にした際の平衡測度の挙動を調べる.零温度極限が存在するかというのは基本的な問題であり,1次元記号力学系においては,ポテンシャルとして局所定数関数を取れば,零温度極限は存在することが知られている. 一方,3次元以上の記号力学系では零温度極限が存在しない局所定数関数がChazottesとHochmanにより構成されている.本講演では,零温度極限が存在しない2次元記号力学系上の局所定数関数の構成について述べる.高次元の有限型サブシフトのクラスが多様なサブシフトを含むということが一次元と高次元の場合の本質的な違いを生む.本研究はJean-René Chazottes 氏(Ecole Polytechnique) との共同研究である.