semi-abel多様体の自己射の擬周期点について

開催日時
2018/06/22 金 14:00 - 17:00
場所
6号館609号室
講演者
佐野 薫
講演者所属
京都大学
概要

 有理数体などの数論的な体の上で定義された代数多様体の有理点に対し、高さと呼ばれる重要な量がある。
代数多様体の自己射が与えられたとき、その反復合成により高さがどのように増加するかを調べることは、
Diophantus幾何の分野で応用の知られた重要な研究である。川口-Silvermanは点の軌道に対して算術次数
という増大度を測る量を定義し、軌道がZariski-稠密であれば算術次数は(第一)力学系次数に一致する
と予想した。
 今回、川口-Silvermanの予想をsemi-abel多様体の自己射に対して示すことに成功し、その試みの中で、
semi-abel多様体の自己射がある条件を満たすときには、ある有理点bが存在し、aが擬周期点であることと
a-bがねじれ点になることが同値であることを証明した。
 本講演では高さ関数の導入から始め、川口-Silvermanの予想を例を交えて紹介し、semi-abel多様体に対
する前述の主張の証明の概要を準同型の場合に述べる。時間が許せば同じ状況での川口-Silverman予想の証
明の概要を述べる。
本研究は東京大学の松澤陽介氏との共同研究である。