曲面上の点渦力学系

開催日時
2018/05/25 金 14:00 - 17:00
場所
6号館609号室
講演者
清水 雄貴
講演者所属
京都大学
概要

曲面上の流体力学において,曲面の形状の観点からの流体運動の定性的理解が求められている.一般に流体方程式は無限次元であるものの,曲面上の非圧縮非粘性流体で,渦度がデルタ関数の線形結合で表される点渦力学系と呼ばれる対象は有限次元ハミルトン系として表される. 点渦力学系の時間発展方程式を与えるに際し,流体力学系Green関数と呼ばれるLaplace-Beltrami作用素の基本解は中心的役割を果たす.そのため点渦力学系のより詳細な力学系的性質を得る上で,流体力学系Green関数を計算可能かつ解析的な表示を得ることが不可避となる.
本講演では,はじめに平面や球面,標準トーラス上の点渦力学系を例に,流れ場の形状の違いが流れにどのような変化をもたらすかを紹介した後,それらの例を包括する,非自明なKillingベクトル場が存在する曲面上の流体力学的Green関数の計算可能な解析的表示の構成を述べる.なお標準トーラス上の点渦力学系に関する結果は坂上貴之教授(京都大学)との共同研究に基づく.