大脳皮質の局所ネットワーク構造とダイナミクス

開催日時
2018/05/29 火 16:30 - 18:00
場所
6号館809号室
講演者
寺前 順之介
講演者所属
京都大学 情報学研究科
概要

大脳皮質は,認知・判断・推定などの高次機能と呼ばれる機能を担当する脳の主要な部位であり,約百億の神経細胞からなる巨大なネットワークである.そのネットワークは,局所的にはほぼランダムネットワークに見えるものの,近年,実験技術の進歩によって,結合強度の強い不均一性やクラスター構造,また結合強度の様々な相関などを含む,非ランダムな特徴を有することが明らかになり始めた.しかし大脳皮質局所ネットワークに見られるそれらの特徴が,脳のどんな機能とどのように関連しているのかは未解明に残されていた.本発表では,まず大脳皮質のネットワークが持つ特性とそこで見られる神経活動について最新の知見を含めて紹介し,大脳皮質の特徴的なネットワーク構造が,神経系への入力信号に含まれるノイズに対するある種の安定性への要求の結果として説明できることを数値的に示す.さらにそのネットワーク上で,神経細胞間での自発的なスパイク発火活動が安定して生成され維持されるメカニズムについても紹介する.