Fast growth of the number of periodic points for real-analytic dynamics

開催日時
2017/10/13 金 14:00 - 17:00
場所
6号館609号室
講演者
浅岡 正幸
講演者所属
京都大学
概要

 閉多様体上の滑らかな力学系については,周期点の増大度が超指数的であるような系が豊富にあることがKaloshinにより証明されている.その一方で,flatな臨界点を持たない滑らかな実1次元写像に関するMartens-de Melo-van Strienによる結果の帰結として,閉区間上の実解析的な写像の周期点の増大度は高々指数的であることも知られている.

 一般次元の閉多様体上の実解析的な力学系の周期点の増大度も高々指数的であるのか,そうでないならばどれくらいの速さがありうるのか,というのは自然な疑問であるが,これまで増大度が高々指数的であることも証明されず,また,各周期ごとの周期点の数は有限個でありながら増大度が超指数的である例も知られていなかった.

 最近,講演者はいくらでも大きな周期点の増大度を持つ写像が,2次元トーラス上の実解析的ハミルトン写像の空間のある開集合で稠密に存在することを証明することができた.この講演では,周期点の増大度について知られている結果を振り返るとともに,その結果について報告したい.なお,主結果の詳細については以下の論文に書かれている.

M. Asaoka, Abundance of fast growth of the number of periodic points in 2-dimensional area-preserving dynamics. CMP vol. 356, 1–17.
DOI: 10.1007/s00220-017-2972-0