心臓血管領域の流体力学

開催日時
2017/10/20 金 14:00 - 15:30
場所
6号館809号室
講演者
板谷 慶一
講演者所属
京都府立医科大学大学院医学研究科 心臓血管外科
概要

近年のIT技術の進歩に伴い,医療データの管理や解析も進歩している.特に3次元の動画を扱う画像技術はダイナミックに拍動する心臓において病気や動態をとらえるうえで極めて重要な位置づけを示してきた.一方,心臓や血管の中には血液が流れていて,心臓血管病では病気に伴い異常な流れが発生するため,流れを把握することが治療のストラテジーに大きくかかわることがあり,流体力学が大きな力を発揮する.
我々は医用画像や循環器生理学に流体力学を持ち込むことで,様々な方法で血流を可視化するツールを開発してきた.また,単に「新しい可視化ソフトウェアを構築した」というだけにとどまらず,病気や治療の本質を流体数理や流体物理に基づいて考察することにより,心臓血管外科手術の仮想手術シミュレーションや心不全や動脈硬化疾患での予測医療を実施することが可能にもなりうる.本稿では数理技術と臨床症例の具体例を通じて流体数理がもたらす循環器医療への影響について議論する.