非一様性をもつ双安定媒質中でのパルスダイナミクスについて

開催日時
2017/01/05 木 16:30 - 18:00
場所
6号館809号室
講演者
西 慧
講演者所属
京都産業大学 理学部 数理科学科
概要

反応拡散系とよばれるクラスの偏微分方程式は,自然界で見られる様々なパターン形成を記述するモデル方程式として広く用いられている.なかでもパルス解やスポット解のように空間的に局在化した解は多くの系でみられる普遍的な構造である.
このような空間局在解については,その存在や安定性などが古くから調べられているが,現実には環境の温度変化や化学物質の濃度勾配などが存在することを考慮して,最近では非一様をもつ系(パラメータが時間や空間に依存して変化する系)でのダイナミクスについても調べられており,その分岐理論的なメカニズムが数値計算や解析により明らかになりつつある.これまでは主に興奮性媒質でみられるパルス解を対象に研究が行われてきたが,一方で双安定媒質においても2つの界面をもつようなパルス解があらわれ,界面間の相互作用により興奮性のものと質的に異なるダイナミクスをみせる.
本講演ではこの双安定媒質でみられるパスル解の非一様媒質中でのふるまいについて,数値計算や解析により得られた結果についてご紹介したい.