微分方程式の構造保存数値解法とその高速化

開催日時
2015/11/04 水 16:30 - 17:30
場所
RIMS110号室
講演者
降籏 大介
講演者所属
大阪大学・サイバーメディアセンター
概要

微分方程式の数値解析において、その厳密解がもつ数学的な性質の一
部を数値解においても再現することを「その数値解法が構造保存性を
持っている」といい、こうした計算法を構造保存数数値解法という.
実際に保存しようとする性質は系のエネルギーやシンプレクティック
性などいろいろであるが、 その多くは系の変分構造などに基づく数学
的な背景を持ち、数値解の数学的な素性の良さを得ることを狙いとし
ているとみてよい.そしてこの素性の良さが数値解の安定性や精度の
「良さ」に繋がることがしばしば見いだされる.こうしたことから、
今日、構造保存数値解法は微分方程式の数値解法の研究者の間で広く
研究対象となっているが、構造保存性と引き換えの欠点も存在する.
それは構造保存数値解法はしばしば「計算量が比較的大きい」という
問題である.こうした状況に対して、偏微分方程式に対する構造保存
数値解法の一つである離散変分導関数法をもとに、具体的な問題点と
その技術的、本質的な解決についての議論を紹介する.