平面三次曲線の行列式表示の局所大域原理

開催日時
2016/01/15 金 13:30 - 14:30
場所
3号館152号室
講演者
石塚裕大
講演者所属
京大数学教室
概要

平面曲線を線形形式成分の行列の行列式で定義できるかという問題を考える.これは非常に古典的な代数幾何の問題で,古くは 19 世紀の Hesse の研究にまで遡ることができるが,数論的な問題意識からの研究が見られるようになったのは比較的最近である.今回は,有理数体上で定義された三次曲線について,「各局所体上で行列式により定義されるとき,有理数体上でも行列式で定義できる」という局所大域原理が,「正の割合で」成立することを紹介する.そのために「正の割合」の意味などの定式化を行う.一方で,局所大域原理の成立しない有理数体上の三次曲線も無限に存在すること,楕円曲線の Selmer 群の分布に関する Bhargava-Kane-Lenstra-Poonen-Rains の予想を仮定すれば,局所大域原理の成立しない三次曲線も「正の割合で」存在することもあわせて紹介する.また行列を対称行列に限った場合の問題との比較についても触れるつもりである.