Riemann的曲率次元条件を満たす空間上のBrown運動の収束

開催日時
2015/12/22 火 15:00 - 16:30
場所
6号館609号室
講演者
鈴木康平
講演者所属
京都大学
概要

Riemann的曲率次元条件(RCD条件)とは, 「Ricci曲率が下に有界, 次元が上に有界」という概念を, 滑らかでない測度距離空間に, 最適輸送の理論を使う事で, 一般化した概念である (Sturm '06, Lott-Villani '09, Erbar-Kuwada-Sturm '15). RCD条件化では, Cheegerエネルギーと呼ばれるエネルギー形式に対応する拡散過程の存在が知られており, これをBrown運動と呼ぶ.
本講演では, 「空間の収束からBrown運動の収束が従うか?」という問題を考える. Brown運動の収束は, ラプラシアンの固有値の収束だけからは一般には従わず, Brown運動の道の連続性をコントロールする確率論的な議論を必要とする.
主結果として, 測度距離空間の列が, Riemann的曲率次元条件(RCD*(K,N)条件)を満たし, 直径が上から一様に押さえられており, 全測度=1を満たす, と仮定した時, 空間のmeasured Gromov-Hausdorff収束と, Brown運動の法則収束が同値になる事を示す.