確率過程と統計的漸近推測論

開催日時
2016/01/06 水 15:30 - 16:30
場所
RIMS110号室
講演者
清水 泰隆
講演者所属
早稲田大学・理工学術院
概要

 統計学における最も基本的な問題は,分布の未知母数を観測されるデータ
から推定することである.このとき,データ数が大きくなるほどその推定の
「確かさ」が向上することが要求される.これに数理的な正当性を与えるのが
数理統計学であり,その方法論として最も基本的なものが最尤推定法である.
古典的な(IIDの)統計学では,「確かさ」の度合いとして(対数)尤度が用いられるが,
例えば連続的に時間発展する確率過程の場合,そのデータの取られ方によっては,
尤度が陽に求まらず基本的な最尤法すら利用できなくなる.このような場合,
擬似的な尤度を構成し,それを元にある種の漸近理論(大標本理論)を展開すること
によって,推定の正当性を主張することができる.本講演では,古典的なIID統計学の
復習から入り,M-推定(Z-推定)などの一般的な大標本理論を概観した後,
それらの保険・ファイナンスへの応用について紹介する.