確率最適制御に対する臨界性理論についての入門的な解説を行なう．確率最適制御とは，制御変数を含んだ確率過程から定まる評価関数を，制御項をうまく選んで最大化（最小化）する一種の変分問題である．また，臨界性理論とは，２階線形偏微分作用素に対する調和関数やグリーン関数の存在・非存在に関する問題を指し，確率論的には対応する確率過程の再帰性・過渡性と関係する．この講義では，離散モデルと連続モデルの双方に対して，確率最適制御の観点から臨界性理論の非線形拡張を試みる．また，ポリマー模型など他の問題との関連性についても触れる予定である．