回転球面上における不安定な平行シア流からの擾乱発達の上限値問題について

開催日時
2015/11/10 火 16:30 - 18:00
場所
6号館809号室
講演者
石岡圭一
講演者所属
京都大学
概要

回転球面上における2次元非圧縮流体において, 平行流(帯状流)がシア不安定(順圧不安定)である場合, 微小擾乱が指数関数的に発達していくが, その発達はいずれ頭打ちになる. この擾乱発達の上限を弱非線形等の近似を用いずに,系の保存量を組み合わせることによって見積る試みは Shepherd(1988)によって最初に行なわれた. Ishioka and Yoden(1996)では, より tight な上限値を求めるための異なる 2つの手法を提案した. その際の数値計算において, その2つの手法から得られる上限値が等しくなるのではないかという予想が立てられたが, 数学的な証明は与えられていなかった. Ishioka(2013)において, この 2つの手法から得られる上限値が等しいものになることについての証明を与えることに成功し, その証明の過程で使われる手順が上限値の効率的な計算法を与えることも示した. 本講演では, 以上の研究の流れの概観と, 気象学者が何故このような上限値問題に興味を持ったのかについての背景等についても簡単に紹介したい.

備考:本セミナーは坂上クレスト連携セミナーとしても開催されます.また,東大数理052室へ中継されます.