Zagier の enhanced ゼータ値の新谷 L 関数を用いた構成

開催日時
2015/07/10 金 13:30 - 14:30
場所
3号館152号室
講演者
佐藤信夫
講演者所属
京大数学教室
概要

デデキントゼータ関数の正整数での値が Ramakrishnan polylog の Bloch 群の元での値の行列式になるという Zagier 予想が知られているが,虚二次体の場合には,さらに精密な予想が Zagier により定式化されている: Zagier はまず Eisenstein 級数の Eichler 積分を用いて実部が虚二次体の部分ゼータ値に一致するような類不変量 (enhanced ゼータ値) を構成した.また,Zagier は Ramakrishnan polylog を複素数値に精密化した enhanced polylog を構成して,Zagier 予想の精密化 (The enhanced conjecture) を定式化した.本講演の目的は,第一に,新谷 L 関数を用いて Zagier の構成した enhanced ゼータ値の自然な意味付けを与えることである.また,それを踏まえて,新谷 L 関数を用いた方法で,複素素点が 1 つの代数体の実素点が全て分岐するアーベル拡大に関する部分ゼータ関数の場合に enhanced ゼータ値を構成し,The enhanced conjecture を定式化する.