ホログラフィー原理を通した量子情報の幾何学化

開催日時
2015/07/15 水 16:30 - 17:30
場所
3号館110講演室
講演者
高柳 匡
講演者所属
京大・基礎物理学研究所
概要

 理論物理学において重力理論(一般相対性理論)と電磁気学的な理論
(ゲージ理論)は、互いに異なる性質を持つ別々な理論であるように一見
思われがちであるが、超弦理論においては両者は同一のルーツを持ち、
統合されることが分かる。その端的な例がゲージ重力対応(AdS/CFT対応)
やその一般化に相当するホログラフィー原理である。このホログラフィー
原理は、重力理論は、実はそれよりも一次元低い空間における量子多体系
(重力を含まない他自由度の量子系)と等価になることが予想される。
さらに、この対応関係において、量子系の情報(量子情報)は、曲がった
空間の幾何学的な情報と等価であることが分かる。例えば、共形場理論
(CFT)と呼ばれる量子系において、量子情報量を表すエンタングルメント・
エントロピーは双曲空間における極小曲面と等しくなることが示せる。
この考え方をさらに発展させると、重力理論の時空間自体が、量子エンタ
ングルメントという量子論特有の相関現象の集合体として解釈できること
が予想される。本講演では、この最近活発に研究が行われているトピック
に関して解説したい。