$L^2$臨界KdV 方程式のソリトン近傍ダイナミクス

開催日時
2015/06/19 金 15:30 - 17:30
場所
3号館251号室
講演者
中西 賢次
講演者所属
大阪大学大学院情報科学研究科
概要

本講演は Martel, Merle, Raphaël との共同研究に基づく. 非線形分散性方程式の解の大域挙動分類として,非線形 Klein-Gordon 方程式に対する Schlag との共同研究では,基底状態より少し上のエネルギーまでの解全体を,9つの挙動へ分類した. この結果は非線形 Schr\"{o}dinger 方程式や非線形波動方程式へも拡張されているが,非線形項がL^2超臨界である事に依存している. 他方,Martel, Merle, Raphaël は,$L^2$ 臨界冪の一般化 Korteweg-de Vries 方程式について,ソリトンに十分近く,かつ,ソリトンの進行方向で減衰する初期値について,有限時間で爆発するか,ソリトンへ空間局所的に収束するか,有限時間内にソリトン集合から離れるという事を示した. 本講演の主結果は,2番目の解集合が,上記のような減衰条件の関数空間において余次元1の$C^1$多様体を成し,ソリトン集合の近傍を残り2つの解挙動に分け,さらに多様体上の解はソリトンと自由解の和に漸近する事を示す. これは上述の超臨界での9分類と比較すると,時間正方向とソリトンの近傍に限った3分類と見なせるが,鍵となる不安定性の性質が異なるため証明も大きく異なる. また,空間減衰と時間挙動の関係,時間正方向と負方向の挙動変化,ソリトンから離れた解の挙動など未解明の問題が多く,講演ではそれらについても議論したい.