ホロノミック系に対する完全 WKB 解析をめぐって --- 現状と展望

開催日時: 
2015/05/27 Wed 16:30 - 17:30
場所: 
RIMS110号室
講演者: 
竹井 義次
講演者所属: 
京都大学・数理研
概要: 

 1次元 Schr\"odinger 方程式の WKB 解に対して Borel 総和法により
解析的な意味付けを与える完全 WKB 解析は、2階常微分方程式の解の
大域解析に威力を発揮する。しかし、仮想的変わり点が現れ Stokes
幾何の構造が複雑な高階常微分方程式の場合をはじめとして、残された
課題も数多い。特に、多変数のホロノミック系を完全 WKB 解析の視点
から論じることは、重要かつ魅力的なテーマである。

残念ながら、ホロノミック系に対する完全 WKB 解析を系統的に扱った
仕事はまだ存在しない。しかし、その建設に向けての第一歩と考えられる
ような結果や、これからどのような方向に理論を展開していくかといった
見通しも、少しずつではあるが得られつつある。本講演では、こうした
ホロノミック系に対する完全 WKB 解析をめぐる現状についてお話したい。
具体的には、次の3つの話題を中心に論じる予定である。

1) 仮想的変わり点や新しい Stokes 曲線の問題と、線型ホロノミック系
に対する廣瀬の結果。
2) KdV 方程式に対する Dubrovin の結果(予想)と、廣瀬の結果の
非線型方程式への拡張。
3) WKB 解や Voros 係数に関する壁越え公式と、微分方程式に含まれる
パラメータに関する差分方程式。